運動療法のデメリット

運動が苦手な方に、運動療法は逆効果になりやすい

うつ病の治療方法として運動療法が、しばしば提案されます。身体を動かす事で憂鬱な気持ちを払拭出来たり、筋トレに励む事でメンタルが鍛えられたり、頭がパニック状態に陥っても軽いトレーニングをする事で逆に気持ちが落ち着く等、運動には素晴らしいメリットがあるのです。ただし、うつに悩む全員に運動療法が効果的とは言えません。メンタルケアのため、筋トレやジョギングや本格的なスポーツに取り組む事を強く推奨するアドバイスがありますが、いわゆる元々運動が苦手な方、学校の体育などに苦い思い出がある方々にはむしろ逆効果になりやすいです。

辛い症状を克服するために、更に苦しい思いがフラッシュバックするスポーツに取り組めば、心身が癒やされるどころか、むしろ更に酷い状態に陥ります。うつ病治療と言っても人によって適正があるのも事実です。

目標がかえってプレッシャーになってしまう恐れも

運動療法自体は効果的な対策ですが、うつの状態によってはかえって、それがプレッシャーになります。「しなければいけない」というストイックな気持ちが強い性格の方がうつの状態に陥ると、思考が脅迫的な形になりがちです。専門医から「毎日筋トレを10回、続けなさい」と言われた場合、杓子定規に365日、毎日絶対10回をクリアしなければいけない、といったプレッシャーが加わります。筋トレが物理的に、精神的に出来ない日があれば柔軟に休んでもOKなのですが、元々真面目でストイックな性格の持ち主の場合、専門医に言われた事を素直に守り過ぎる傾向があります。 実際に毎日筋トレが続ければ一応運動療法の効果が得られますが、例えばたまたま精神の疲労から一日トレーニングが出来なかった時、真面目過ぎるタイプの方は、それが自責の念となり「自分は毎日10回程度の筋トレも続けられない、なんてダメな人間なのだ」と逆にうつの状態がひどくなりがちです。